Fate/Grand Orderにおける『マハーバーラタ』のアルジュナについて(雑記)

 

twitterでの雑語り

アルジュナブラフマーシラーストラ(梵天の頭の武器ブラフマー・シラス・アストラ)でアシュヴァッタ―マンの其れを相殺した時に、聖仙から撤回するよう求められて回収する訳だが、アシュヴァッタ―マンはできない。

むしろ回収できるアルジュナの卓越した聖性への称賛が原典では行われる。

アルジュナ以上の聖性をもつラーマはというと、ジャヤンタ神へ放ったブラフマーストラを「止められないから、せめて的を小さくしろ」ということで眼を潰す。

 

アストラ(一般に神の武器)とは召喚される物であり、呪物である。

加持される言葉であり魔力であるように『マハーバーラタ』全編を含めて思える。

 

放たれた武器=口に出した宣言、それは基本的に何があっても回収=撤回することはできないのだ。

パラシュラーマの愛弟子カルナへの「お前は必要な時、武器の術を忘れるだろう」という呪いは撤回できなかったが、代わりに宿敵アルジュナのガーンデーヴァ神弓に匹敵する弓と、ブラフマーストラの代わりの武器の術を与えた。

ウルヴァシーのアルジュナへの不能の呪いは、インドラの取り成しで一年だけという条件付きの期間を加えられた。

 

ここで上記のアルジュナの特異性が挙げられる。

 

アルジュナは前言撤回が物語的に許される。

ラーマーヤナ』のラーマはそれが出来ずに愛妻シータを失ったのに。

 

 

 

 

自身の信念を貫き通す、という意味で、一般的な正義。

構成される要素(人民)によって価値観が変動する、社会道徳の正義。

死んだビーシュマやカルナ達に語り部が託したのは前者。

生き残ったアルジュナ語り部が託したのは後者。

 

 

 

アルジュナの正義観

それで型月アルジュナの、原典アルジュナの解釈はどうしたのかという話になるんだ。

 

 

 頼まれたから女性にすまないした(隠語)ジークフリートアルジュナが似ているっていうのは内心では悪いと思っていても無私を努めるとかそういうのかな?とも思う。

 

 パーシュパタの即死の意味

っていうのとは別に、元々記事にしようとしたのはFGOの即死効果、意味なくない?という話。

即死特化のニトクリスしか息してない。

 ボス・サーヴァントには効果ないし、シャドウサーヴァントは普通に倒せるしなあ。

追い打ちをかけるように即死無効化がパッシブ(常時発動)で来やがる。

単独顕現

単体で現世に現れるスキル。単独行動のウルトラ上位版。本来はビーストしか持ち得ぬ特性。このスキルは“既にどの時空にも存在する”在り方を示しているため、時間旅行を用いたタイムパラドクス等の時間操作系の攻撃を無効にするばかりか、あらゆる即死系攻撃をキャンセルする。また、このスキルを持つ者は特異点による人理焼却も、○○○○○による人理編纂にも影響を受けず、条件がそろってさえいれば顕現する。セイバーの両儀式は何故かこのスキルを所持している。このスキルを持つものは即ち―――。ティアマトは一度顕現してしまえば七日に渡りインド洋を塗り替える。顕現してからは休む事なく魔獣たちを生み出し、人類を喰い尽くす。反面、ビーストⅡ本体は海そのものなので陸地にあがる事はできない。人類掃討は子供である魔獣たちの仕事となる。マーリンの場合、どのような未来においても死亡しないため、英霊として召喚されることはない。彼がサーヴァントとして仕えるのは個人的な欲望の発散、ありていにいえば趣味である。彼はその趣味を実現させるため、ある特殊クラス(ビースト)しか持ち得ないこのスキルを自力で獲得し、サーヴァントとして召喚されるフリをしている。アルターエゴの殺生院キアラは、アルターエゴに変化した事で自重し、自己封印している。ただし、単独顕現が持つ「即死耐性」「魅了耐性」は備えている。『Grand Order』では「自身のクリティカル威力を少しアップ&即死耐性アップ&精神異常耐性アップ」という効果のパッシブスキル。

スキル一覧 (た-と) - TYPE-MOON Wiki

 

即死耐性概念の話で、この即死はパーシュパタ型を指していると思われる。

パーシュパタ型とは以下の二つ。

 

破壊神の手翳(パーシュパタ)

ランク:A+
種別:対人宝具
レンジ:1~100
最大捕捉:1000人
由来:破壊神シヴァがアルジュナに授けた鏃。神代の神造兵装。ヒンドゥー教における三大神、破壊と創造を司るシヴァから与えられた武器。周囲の人間を纏めて鏖殺するのではなく、レンジ内の敵一人一人に対して判定を行い、失敗した者を解脱、即ち即死させる。この宝具が対「人」と分類されているのはそういった性質から来ている。神性が高ければ高いほど解脱の確率は大きくなるが、逆に反英雄と呼ばれるサーヴァント達は解脱の確率が低くなる。対象が人でなくとも相当の破壊力を有しているようで、『Fate/Grand Order』においては幕間の物語「神弓の真価」では森を吹っ飛ばして更地にしてしまい、さらに第五章にて捨て身で放った際には魔神柱28柱の集合体であるクラン・カラティンを纏めて吹き飛ばすほどの威力を見せている。また『Fate/EXTELLA LINK』では「機動聖都・東門」「機動聖都・西門」「強襲!機動聖都」の3つのステージで、手の届かない孤立した空間にある巨大な防衛砲台をセクター諸共に消し飛ばしているほか、カルナ戦においてはまるでビームのように前方に向かって放つ使い方も見せている。『Fate/Grand Order』では「神性領域拡大、空間固定……」から始まる詠唱で発動範囲や時間を設定し、承認が終わると手元に光球が出現。これを指先を軽く動かすようにして天に投げ上げる。投げ上げられた光球は敵頭上に移動すると解けて一気に広がり、同時に敵全体を飲み込んで圧し潰すといったような演出になっている。『Fate/EXTELLA LINK』では演出が途中から異なり、こちらでは投げた光球が大気圏を突き抜けて宇宙空間に到達し、そこで無数の光筋となって放出され大気圏に再突入。光の筋は敵一体一体に向かって流星のように落ちていき、地上に到達すると天に巻き上げながら前進し、やがてすべてを飲み込んでゆく演出となっている。『Fate/Grand Order』では「敵全体に強力な攻撃&敵全体に低確率で即死&さらに〔神性〕特性の相手に対して確率で即死&敵全体の防御力ダウン」という効果のBuster属性の宝具。『Fate/EXTELLA LINK』では即死効果がオミットされている。

アルジュナ - TYPE-MOON Wiki

 

終末幻想・少女降臨(ラグナロク・リーヴスラシル)

ランク:B

種別:対軍宝具

レンジ:0~4

最大捕捉:100人

完全に同期した自分たち───複数のワルキューレたちが一堂に集い、ヴァルハラへと至る勇者の魂を導くための機能のすべてをより合わせ、手にした宝具『偽・大神宣言』を一斉に投げつける。対象に槍の投擲ダメージを与えると同時に、効果範囲に一種の結界を展開。あらゆる清浄な魂を慈しみ、同時に、正しき生命ならざる存在を否定する。サーヴァントや使い魔といった存在や、術式、幻想種、吸血種、等々の魔術や魔力に類する存在を退散させる空間を作り出すのである(抵抗判定に失敗した個体を退散させる)。『Grand Order』では「自身に必中状態を付与&敵全体に強力な攻撃&〔魔性〕属性の相手に対して確率で即死」という効果のQuick宝具。

ワルキューレ - TYPE-MOON Wiki

 

この二つである。

 

絶剱・無穹三段(ぜっけん・むきゅうさんだん)

ランク:A
種別:対界宝具

無量、無碍、無辺、三光束ねて無穹と成す。光り輝く黒光を放つ魔神・沖田総司必殺の魔剣。抑止力としての奥義であるこの技は、本来存在しえないもの、してはいけないものすら強制的に世界から退去・消滅させる事が可能。たまに技の名前を忘れて「なんかすごいビーム!」などと言って放つ事もあるが、ちゃんと威力は発揮される。

『Grand Order』では「敵全体に強力な攻撃&Buster耐性をダウン」という効果のBuster宝具。

沖田総司〔オルタ〕 - TYPE-MOON Wiki

 

個人的には、無穹三段も「即死がゲーム的に意味がないことを悟った為に、有用な効果に変えた」即死型であると思う。FGO作ってる奴らはそういう事するもんな(圧倒的信頼感のなさ)。

たぶん意図としては存在強度の低下だよね(防御力ダウンとかも)

 

それで肝心の即死効果をもつ宝具はというと、けっこうあるのだけど。

無垢識・空の境界、憤怒の波濤、破壊神の手翳、貫き穿つ死翔の槍、終末幻想・少女降臨、神槍无二打、刺し穿つ死棘の槍、死告天使、妄想心音などなど……

 

オーバーキル系(物理・概念的に生存に必要な器官を確実に壊す効果)とターン・アンデッド系(浄化したりで強制昇天をもたらす効果。別世界逝き含む)の二つがあると考えられる。

で、単独顕現(どの時空にも存在する力)と物理的即死って関係性がなくない?

普通に倒されたら消滅しとるやんけっていう。

パーシュパタ型を警戒する理由は分かる。ティアマトとか単独顕現なければ解脱死されちゃうもんな。同じパーシュパタ型の五百羅漢補陀落渡海みたいに浄土へ連れて行かれ成仏(こいつ設定では即死なのに即死効果ないのな)される。

 

破壊神の手翳とは?

これは漢字の意味。

手の翳(かげ)と破壊神の武器(パーシュパタ、獣の主パシュパティの武器アストラ)という言葉が最初は結び付かなかった。

ブラックホールじゃないんだ?という先入観があった。

「(前略)私はクリシュナとともに、動不動のものを含む三界を、神々もろとも、過去と現在と未来にわたって、一瞬のうちに滅ぼすことができると思う。あの山岳民との戦いにおいて、パシュパティが私に与えた恐ろしい偉大な武器が私のもとにある。宇宙紀の終末にパシュパティが万物を滅ぼすために用いるあの武器が私のもとにあるのだ。(後略)」

原典訳マハーバーラタ5 上村勝彦 訳

手の翳というと、上位存在が眼下にいる有象無象を握りつぶす的な。そんな意味合いを感じる。自分の頭の上に巨大な手がいるのを想像してください。

 

アーケードというアルジュナの解像度を上げる媒体(解像度=掘り下げ)が出た当時、twitterのインドのガチ勢が「満月から新月までの、欠けていく月のことをクリシュナ・パクシャと呼ぶ」と書いた。

別の方向での翳り!

集合知

かかぽさんには助かってます(アルジュナの女体化の可能性について文献的根拠を提示して下さったのには感謝しかない…)!

 

月の翳り。

シヴァ神というとパラシュラーマに傷付けられた三日月の傷(カンダパラシュ)とか、羅刹の王ラーヴァナに与えた神剣チャンドラハス(月の笑み)とか。

f:id:coconoe03:20190316230253j:plain

Fate/Grand Order Arcade

 

結構シヴァと月は関係性が深い。チャンドラ神、ソーマ神ェ……

 

で、俺が思った翳りは、半月ではなくて月蝕なんですね。

ラーフとか関係なくその方が格好良いからなんですが。

だけど星の翳りっていう路線がありなのは、『ロード・エルメロイII世の事件簿4 case.魔眼蒐集列車(上)』で、素粒子の振る舞いから踊りの王(ナタラージャ)、ブラックホールを宙の瞳という魔眼に例え、大いなる虚無(マハーカーラ)と表現したこと。

 

俺は基本的に資料を繋ぎ合わせてこじ付け合戦するの好きなんで。

 

翳り。つまり生命が終わる直前の状態。

月はその光を失い、恒星はブラックホールと化すようなもの。

破壊の神は星を閉鎖すシステムなんですよきっと。

 

でも一番好きなパーシュパタの形状はテラリンクで出たようなエネルギー・ボールでも、かめはめ波でもなくて。

このタペストリーの蓮のようなものです俺は。タペストリー持ってないけど。

f:id:coconoe03:20190316230717j:plain

Fate/Grand Order」カルナ・アルジュナセット

この方向性で行って欲しかったな(二部cmバーサーカーはガラス玉だし)